2009年7月アーカイブ

Kirkby-Handel-Italian600.jpgカークビーの声は現在も健在だがこのCDは1984年の録音。当然だが清らか、かつ瑞々しさはすぐにカークビーの声とわかるもの。今ではルネサンス、バロック音楽の演奏も成熟してこれらを得意とする歌手も多くなったが、カークビーの価値は依然変わらない。
このCDに収録されたカンタータは、いずれもヘンデル(1685-1759)のイタリア期(1706-1710)に作曲されたもので、教会カンタータではなく貴族のサロンで演奏されたもので歌詞にも宗教色はない。また、のちにオペラに転用された曲も多い。


"TU FEDEL? TU COSTANTE?"
Sonata
Tu fedel? tu costante? Ah! non è vero
Cento belle ami, Fileno
L'occhio nero vivace di Filli a te dà pena
Se Licori, Filli ed io
Ma, se non hai più d'un sol cuore in petto
Sì, crudel, ti lascierò

"MI PALPITA IL COR"
Mi palpita il cor, nè intendo perchè
Ho tanti affanni in petto
Clori, di te mi lagno
S'un di m'adora la mia crudele

"ALPESTRE MONTE"
Alpestre monte e solitaria selva
Io so ben ch'il vostro orrore
Quindi men vengo a voi per cercar morte
Almen dopo il fato mio

"TRA LE FIAMME"
Tra le fiamme tu scherzi per gioco
Dedalo già le fortunate penne
Pien di nuovo e bel diletto
Sì, sì, purtroppo è vero
Voli per l'aria chi può volare
L'uomo che nacque per salire al Cielo
Tra le fiamme tu scherzi per gioco


ACADEMY OF ANCIENT MUSIC
direkted by CHRISTOPHER HOGWOOD (Harpsichord)
Recording Date: December 1984

L'OISEAU-LYRE 414 473-2
ポリドール F35-50289

Kozena_Handel600.jpgコジェナーはいい声ですね。このCDのヘンデルはすべての収録曲を通してとても美しく聴かせる。タイトル曲の "Ah! mio cor" の前半部のような緩やかな曲想では感情を込めて深く丁寧に。アクロバティックな曲では技巧をそれと見せないように極力さらりと聴かせる・・・これは卓抜したテクニックですね。

Alcina, HWV 34 - Ah! Mio Cor! Schernito Sei!
Hercules, HWV 60 - Where Shall I Fly?
Agrippina, HWV 6 - Pensieri, Voi Mi Tormentate
Giulio Cesare, HWV 17 - Cara Speme, Questo Core Tu Comincia Lusingar
Joshua, HWV 64 - Oh! Had I Jubal's Lyre
Ariodante, HWV 33 - Scherza Infida In Grembo Al Drudo
Theodora, HWV 68 - O Thou Bright Sun ... With Darkness Deep
Amadigi Di Gaula, HWV 11 - Desterò Dall'Empia Dite
Orlando, HWV 31 - Ah! Stigie Larve! ... Già Latra Cerbero
Ariodante, HWV 33 - Dopo Notte, Atra E Funesta
Rinaldo, HWV 7 - Act 2: Lascia Ch'Io Pianga


Magdalena Kožená: mezzo-soprano
VENICE BAROQUE ORCHESTRA / ANDREA MARCON

Recording: Toblach, Kulturzentrum Grand Hotel,
Gustav Mahler Saal, 3/2006

ARCHIV 477 6547 (ユニバーサル UCCA-1077)

Jan_H_Rootering_R_Strauss600.jpgヤン=ヘンドリック・ロータリングはオランダ人テノールを父に持ち、ミュンヘンで声楽の教育を受けつつ育った。のち、Hamburg Musikhochschule のAlan Speer's ˝Lied˝コースに学んでいる。1980年代よりオペラでも活躍するようになり、1990年には Met でのセビリアの理髪師のバジリオを歌う予定である。リートではシュトラウスに次いでシューベルト、ヴォルフが重要なレパートリーであり、シューマンは彼にとってさらに特別なものとなっている。
・・・以上、CD解説より一部を抜粋・要約した。このCDは1987年に西ドイツで録音された。
ロータリングはとても明瞭な発音で歌う癖のないバスだ。激情的な部分も常に抑制が効いていて美しく聴かせる。それでいて、必要な曲の起伏は備わっている。とても聴きやすいシュトラウスだと思う。
この録音はシュトラウスが10代の頃に書いた作品10から、サロメやエレクトラを書いていた頃の作品56までに及ぶ。後者は妻の Pauline のために書かれた作品でありしばしばシュトラウス自身がピアノを伴った。

Zueignung, Op.10-1
Nichts, Op.10-2
Die Nacht, Op.10-3
Die Georgine, Op.10-4
Geduld, Op.10-5
Allerseelen, Op.10-8
Ruhe,meine Seele, Op.27-1
Cäcilie, Op.27-2
Heimliche Aufforderung, Op.27-3
Morgen, Op.27-4
Ich trage meine Minne, Op.32-1
Sehnsucht, Op.32-2
Im Spätboot, Op.56-3
Traum durch die Dämmerung, Op.29-1
Nachtgang, Op.29-3
Ach Lieb, ich muß nun scheiden, Op.21-3
Für funfzehn Pfennige, Op.36-2
Von den sieben Zechbrüdern, Op.47-5

JAN-HENDRIK ROOTERING, BAß
Hermann Lechler, Kravier

Aufnahme: 24./26./27./29. Juni 1987 Studio 3 des BR
CALIG CAL 50863

YouTube - Vittoria, mio core
この曲は身体を少々鍛えないと息が続きませんねぇ。バルトリの歌っているのを聴くと、ノンブレス、ノンストップ!です。超絶技巧だけでなく驚愕の肺活量!

このYouTubeの女性はよく歌っていると思います。

SchweigsameFrau-Sawallisch-1-600.jpgSchweigsameFrau-Sawallisch-2-600.jpg

サヴァリッシュ指揮の「無口な女」。この演奏は素晴らしい。オーケストラは躍動感に溢れ歌手はみんな生き生きと歌っている。1971年の録音だが音も悪くなく、上演のようすが十分に伝わってくる。右の写真の上演の様子だがこれを見ても「無口な女」が楽しいオペラだとわかると思う。

モロズスという役はイタリアオペラのブッファほどの道化役ではないのだが、クルト・ベーメはおトボけが実にうまい。家政婦がなんとマルタ・メードルで、本来この役は単純におしゃべりというだけではなく、一筋縄ではいかないおばさん設定なんだろうと思う。理髪師のバリー・マクダニエルはどんなフレーズもよく「歌って」いる。ヘンリー役のドナルド・グローベはワーグナーも歌うテノールだが、イタリア人テノールみたいな声だから適役なのだと思う。アミンタ役のレリ・グリストは、後宮からの誘拐のブロンデを歌うビデオ映像(カール・ベーム指揮、コンスタンツェはグルベローヴァ)があったが、ここでもすごくうまく歌っている、アミンタはナクソス島のアリアドネのツェルビネッタみたいな歌い回しをする役柄だ。


DIE SCHWEIGSAME FRAU

Sir Morosus . . . Kurt Böhme
Seine Haushälterin . . . Martha Mödl
Der Barbier . . . Barry McDaniel
Vanuzzi, Direktor der Truppe . . . Benno Kusche
Henry Morosus, Neffe des Sir Morosus . . . Donald Grobe
Aminta, seine Frau . . . Reri Grist
Isotta . . . Lotte Schädle
Carlotta . . . Glenys Loulis
Morbio . . . albrecht Peter
Farfallo . . . Max Proebstl

Chor der Bayerschen Staatsoper, Bayerisches Staatsorchester
WOLFGANG SAWALLISCH

Münchner Opernfestspiele - Nationaltheater 14 Juli 1971
ORFEO C 516 992 1

SchweigsameFrau-Bohm600.jpg「無口な女」は聴けば聴くほどに味が出てくる、スルメみたいなオペラだ。ストーリーはどうしたわけかドン・パスクワーレそっくり。違うのはモロズスがドン・パスクワーレのように若い嫁が欲しいわけではなく、ただ、やかましくなく物静かな女(無口な女)がどこにもいないと嘆いていることだ。しかし2つのオペラの筋書きは大まかには同じだ。

すべて(無口な女との偽りの結婚)が茶番だとわかったとき、Morosusの所作はフィガロの結婚の伯爵の心境とも重なる。または、ばらの騎士のオックス。むろんモロズスはそんなに邪な思惑があったわけではないのだが・・・
劇中の喧噪は、シュトラウスがこういうのが好きなんだろうなと思わせるものだ。

ハンス・ホッターはワーグナーのイメージがどうしても強いがブッフォも見事だ。ヒルデ・ギューデンは可憐で好ましい。ヴンダーリヒの美声は素晴らしい。ヘルマン・プライは理髪師の役なので台詞ばかりで歌う機会がほとんどないのが勿体ない。


DIE SCHWEIGSAME FRAU

Sir Morosusu . . . Hans Hotter
Seine Haushälterin . . . Georgine von Milinkovic
Der Barbier . . . Hermann Prey
Henry Morosus . . . Fritz Wunderlich
Aminta, seine Frau . . . Hilde Güden
Isotta . . . Pierette Alarie
Carlotta . . . Hetty Plümacher
Morbio . . . Josef Knapp
Vanuzzi . . . Karl Dönch
Farfallo . . . Alois Pernerstorfer

Chor der Wiener Staatsoper, Wiener Philharmoniker
Karl Böhm

Registrazione dal vivo, 8.8.1959, Salzburg Festival
MELODRAM MEL27071

CAPRICCIO-Bohm600.jpgCAPRICCIO-BohmB600.jpg
右側の写真はリブレットの表紙、巨匠シュトラウスと若き日のベームです。たぶん「カプリッチョ」の話をしているわけではないでしょう。表紙をめくると、今度はクレメンス・クラウスとリヒャルト・シュトラウスの写真が掲載されているのですが、クレメンス・クラウスがカプリッチョの台本の大半を仕上げた人だったのです。とは言え、ベームはショトラウスと同時代に生きた指揮者として作曲家の意思を少なからず汲んだ演奏をしてしかるべき人でしょう。

この演奏は1972年の録音ですが、この当時のベストに近い歌手が配されていると言ってよいでしょう。馴染みのある声ばかりなので視覚を伴わなくても場面を思い浮かべやすいという利点がありますが、逆に劇中人物よりも歌手の個性が勝ってしまって違和感を覚えることもあります。たとえばフィッシャー=ディースカウは頑張り過ぎですね。マドレーヌ役のヤノヴィッツとクレロン役のトロヤノスがいい。男性では作曲家のシュライヤーが素晴らしい、ヘルマン・プライの詩人も魅力満点なんだけど、やっぱり個性が強すぎるかも知れない。リーダーブッシュが役柄を十分に演じ切っていて安心して聴くことができます。

歌手に共通して言えることは言葉(発音)が明瞭だということ。このオペラではこれは大変重要なことでしょう。

Die Gräfin . . . Gundula Janowitz
Der Graf, ihr Bruder . . . Dietrich Fischer-Dieskau
Flamand, ein Musiker . . . Peter Schreier
Olivier, ein Dichter . . . Hermann Prey
La Roche, der Theaterdirektor . . . Karl Ridderbusch
Die Schauspielerin Clairon . . . Tatiana Troyanos
Monsieur Taupe . . . David Thaw
Eine italienische Sängerin . . . Arleen Auger
Ein Italienischer Tenor . . . Anton de Ridder
Der Haushofmeister . . . Karl Christian Kohn

SYMPHONIEORCHESTER DES BYERISCHEN RUNDFUNKS
KARL BÖHM

1972 Hamburg
Deutsche Grammophon 445 347-2

R_Strauss_Capriccio600.jpgリヒャルト・シュトラウス最後のオペラ「カプリッチョ」- - - [音楽が先か言葉が先か] という舞台芸術における永遠の問いかけを軸に、オペラの舞台と実生活である裏舞台が同時進行する小粋な作品です。ちょっと哲学的な会話を織り込んで進行するオペラですが、シュトラウスの美しい音楽と明晰な演出のおかげで意識の寸断を伴うことなくすんなりと最後まで観賞できます。

中心人物であるマドレーヌを演じるルネ・フレミング、女優のアンネ・ゾフィー・フォン・オッターの女性陣がやはり素晴らしい、気品と迫力を感じます。舞台監督役のフランツ・ハヴラータ (Franz Hawlata) の存在感が全体を引き締めています。

舞台設定は1775年のパリです。時はまさにオペラ界がピッチンニとグルックの両陣営に分かれて論争を繰り広げていた頃ですね。劇中にこれらの作曲家の名前も出てきますし、フランスのリュリ、ラモー、特に後者は天才という台詞が飛び出します(個人的にはリュリが好きですけど)。
イタリアオペラを代表する形で登場するイタリア人歌手の歌は時代設定とは関係なく、ヴェリズモ風アリアで始まり、ワーグナーのような音楽に変化します。

このオペラの聴き所はやはり後半部分で、"Holà, ihr Streiter in Apoll!" から始まる La Roche の演説 (?) 、美しい間奏曲、そして終幕に至るマドレーヌのモノローグです。この部分はよくソプラノによって取り上げられますね。曲想は愛そのものでありながら、内容は音楽と詩との間で揺れ動く心、しかしその裏には現実の愛の葛藤が潜んでいるという凝った内容です。しかし、そういった難しさを一切感じさせないのがシュトラウスの音楽の力でしょう。

演出:ロバート・カーセン
指揮:ウルフ・シルマー
パリ・オペラ座管弦楽団
2004年7月2、6日(パリ・オペラ座)

TDK TDBA-0125

Theo-Adam-Strauss-B600.jpgTheo-Adam-Strauss600.jpg

右のジャケットのCDが再発売されて左のデザインになりました。BERLIN Classics レーベルの ETERNA COLLECTION シリーズの一枚です。
テオ・アダムは言うまでもなくバスですが、本人が自ら [hohen Baß] と言っているように、ハンス・ホッターのようなややくぐもった声とは違ってとてもスタイリッシュです。それは声だけではなく歌い方にも言えるような気がします。勢い良くばりばりと歌い上げます、時には声を外へ放り出すかのように。

最後の2曲は2つのオペラの中の曲で、1曲目が「カプリッチョ」から、2曲目は「無口な女」からです。シュトラウスはちょっとお洒落なオペラの中に重要なバスの歌を用意していました。

Lieder:

1. Heimliche Aufforderung (op.27,3)
 Auf, hebe die funkelnde Schale
2. Die Georgine (op.10,4)
 Warum so spät erst, Georgine
3. Ich liebe dich (op. 57,2)
 Vier adlige Rosse voran unserm Wagen
4. Cäcilie (op. 27,2)
 Wenn du es Wüßtest, was träumen heißt
5. Breit über mein Haupt (op. 19,2)
 Breit über mein Haupt dein schwarzes Haar
6. Nachtgang (op. 29,3)
 Wir gingen durch die stille, milde Nacht
7. Mein Herz ist stumm (op. 19,6)
 Mein Herz ist stumm, mein Herz ist kalt
8. Allerseelen (op. 10,8)
 Stell auf den Tisch die duftenden Reseden
9.Zueignung (op. 10,1)
 Ja, du weißt es, teure Seele
10. Wie sollten wir geheim sie halten (op. 19,4)
 Wie sollten wir geheim sie halten
11. Bruder Liederlich (op. 41,4)
 Die Feder am Sturmhut
12. Schlechtes Wetter (op. 69,5)
 Das ist ein schlechtes Wetter
13. Für fünfzehen Pfennige (op. 36,2)
 Dies Mägdlein will ein' Freier hab'n
14. In der Campagna (op. 41,2)
 Ich grüße die Sonne
15. Geduld (op. 10,5)
 Geduld, sagst du
16. Ach Lieb, ich mußnun scheiden (op. 21,3)
 Ach Lieb, ich muß nun scheiden

Szenen aus:

17. Capriccio
 Hola! Ihr Streiter in Apoll!
18. Die schweigsame Frau
 Wie schön ist doch die Musik

HansHotter_Strauss600.jpgHansHotter_Strauss-B600.jpg左:旧国内盤
右:海外盤
ハンス・ホッター (1906-2003) のリートのCDをなにげなく流していると、洞窟の中で老人が呻いているようにしか聴こえない。とても深い声だ。ところが、手元に歌詞カードを置いて言葉を追いながら聴くと途端に歌が胸に響いてくる。そもそも大歌手がシュトラウス直々に教えを受けているのだから、当たり前の話なのだ。
バスが歌うのが良さそうな曲は 20. Das Tal(谷間), 21. Der Einsame(孤独な男)・・あたりか。Das Tal は音域が広く音程も取りにくそうな曲だ。

1. Zueignung
 献呈
2. Nichts
 何も知らない
3. Die Nacht
 夜
4. Breit über mein Haupt
 君の黒髪で僕の頭上を覆ってほしい
5. All mein Gedanken
 僕の思い
6. Du meines Herzens Krönelein
 君は僕の心の王冠
7. Ach Lieb, ich muß nun scheiden
 ああ恋人よ、僕は今別れを告げる
8. Ach, weh mir unglückhaftem Mann
 不幸な男の嘆き
9. Ruhe, meine Seele
 憩えわが魂
10. Traum durch die Dämmerung
 黄昏の夢
11. Nachtgang
 夜の散歩
12. Ich trage meine Minne
 愛を抱いて
13. Sehnsucht
 憧れ
14. Himmelsbiten
 天の使者
15. Ich liebe dich (Detlev von Liliencron)
 君を愛す
16. Ich sehe wie in einem Spiegel
 鏡の中を見るように
17. Freundliche Vision
 快い幻想
18. Winterliebe
 冬の恋
19. Junggesellenschwur
 ひとり者の誓い
20. Das Tal
 谷間
21. Der Einsame
 孤独な男
22. Gefunden
 みつけた花
23. Im Spätboot
 夜ふけの船で
24. Mit deinen blauen Augen
 君の青い瞳で
25. Im Sonnenschein
 陽の光の中で

Bassbariton: Hans Hotter
Piano: Walter Klien
録音:1967年、CBS/SONY 32DC 1032

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